心変わりの理由

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インラインのトップスの魅力は、もう何年も前から知っていた。

別注で作ったパンツも、その良さをすでに感じる事ができていた。

心からリラックスできて、それでいて見え方も抜群に良い。

ニットパンツとしてこれ以上何か求める事があるだろうか。

そう思えるほどに満足していた。

トップスの良さもパンツの良さも、単体ではもう充分に分かっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、あるならば。

セットアップで着た時の感覚への想像。

それもできているつもりだったとしても、そして充分ではなかったとしても、誰が自分を責める事ができるだろう。

 

 

ようやく寒くなった昨年の11月。

はじめてカシミヤニットの上下を揃えて袖を(脚を)通した時。

それを着て過ごした一日。

 

知っていたはずの「トップスの気持ち良さ」「パンツの気持ち良さ」とはひとつ次元の異なる感覚を体験する事になった。

自分の頭の中だけの想像と、実際に身体が感じる感覚との間にある大きな差に打ちのめされてしまった。

 

良いものと良いものを足しただけでは、こうはならない。

それならば想像の範囲内だし、自分の想像はまさにそれだった。

 

チープな表現になってしまうけれど、正解は足し算ではなく掛け算である。

 

 

上も下も、同じように揺れ、同じようにドレープする。

カシミヤの艶が陰影を生み、ニットセットアップのシンプルなスタイルに奥行のようなものを与えている。

全身を同じ柔らかさ、同じ暖かさ、同じ心地よさが包む。

お風呂や布団に入っている時みたいだ。

 

 

上下ともに同じイノセントカシミヤという素材である事、同じテンションで編まれている事。

それらが噛み合った時に到達し得るネクストレベル。

単体で着ている時には感じなかった「全身としての心地よさ」が、そこにはあった。

 

 

冷たい空気の中、柔らかく、あたたかいカシミヤに全身を包まれる感覚。

自然に身体の緊張が抜けて、気分は上がる。

その多幸感は、自分の想像をずいぶんと超えていた。

 

 

そして同時に思い出したのが、このパンツを穿いて店に来てくれたお客さまたちの姿。

カシミヤがゆったりと揺れ、とてもかっこよく見えた。

「このパンツをつくって良かった」と何度も思った。

 

セットアップで来てくれたお客さまは、気取っていないのに様になっていて、日常の中で着ている感じがとても良かった。

 

そのうちに、自分の中で少しずつ気持ちが変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに一度きりの別注だと考えていた。

 

けれども、トップス単体の良さも、パンツ単体の良さも知り尽くした上で、なお想像を超えてきたこの組み合わせを、もっと多くの方に体感してもらいたいと思いはじめていた。

 

パンツだけを買ってくれた方。

トップスだけを持っている方。

途中までたどり着きながらも、まだこの到達点、ネクストレベルを知らない人がいる。

その方々にもイノセントカシミヤのセットアップが持つ、この心地よさと高揚感を伝えたい。

 

今はまだどちらも持っていない方。

まずはどちらかだけでもいい。

それでも充分に素晴らしい選択だから。

 

そしていつかは皆にたどり着いてもらいたい。

日常着としての贅沢さと気負わなさ、その両立としてのイノセントカシミヤのセットアップに。

 

 

 

気づけば、

「もう一度やらない理由」よりも、「やるべき理由」の方がずっと多くなっていた。

 

だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別注の INNOCENT CASHMERE KNIT PANTS の再販と、BATONER インラインのカシミヤトップス数型を揃えた受注会を開催します。

 

 

詳細は次回に続きます。

 

 

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