SELFISH二乗

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今年 BATONER の秋冬受注会をやらないと決めたのには、いくつかの理由がある。

その中のひとつについて話そうと思う。

そもそも話の順番が前後してしまったけれど、今年は BATONER の受注会をお休みさせてもらった。

楽しみにしてくださっていた皆さま、すいません。

BATONER の受注会は盛況なままもう何年も続けていて、普通に考えてやらない理由など何も無い。

お客さまは皆楽しんでくださっているし、BATONER にも沢山発注できるし、当然我々の売り上げも確保される。
思い付くのは良い事ばかり。

まさに「三方よし」というヤツだ。

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BATONER の敏腕セールスI田さんに、今年は受注会をお休みしたいと思います、とのメールを送ると、やや熱めの返信がきた。(ありがとうございます)

以下、抜粋。

DIMPLE さんとご商売を始める際武田さんが「三方よし」とSNSで発信して頂いたのを強く覚えています
月日が進むにつれて弊社も御社も少しずつ商売のあり方、考え方が変わっているのかもしれません
(原文ママ)

ちなみに三方よしとは、日本に古くから伝わる商売の考え方で、「売り手」「買い手」「世間」の三者が皆もれなく満足する状態の事をいう。

売り手だけが利益を得るのではなく、買い手にも満足があり、最終的には事業を通じて地域社会に貢献するのが目指すべき商売の形である、という考えだ。

地元企業である BATONER (奥山メリヤス)と取引をはじめる事になった時、確かに強くそれを考えたし、ブログかインスタグラムか何かに書いた覚えもある。

今でも変わってはいない。
そうあるべきだと思っている。
変わったのは極パーソナルな、個人的な感情なのだ。

だから受注会を休むのは、せっかくの三方よしの形を崩す事は、自分のワガママなのかもしれない。

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受注会をやるという事は、お客さまに判断を委ねるという事だ。

たくさんの型、たくさんの色。

BATONER が企画した数多くのニットの中から(BATONERはシーズンあたりの型数がとても多い)、お客さまに自由に選んでもらう。

それが受注会の醍醐味であり、意義なのだから当然だ。

しかし何年かそれを続けてきて、ふと、疑問が生じた。

あれ、自分たちのいる意味ってなんだろう?

受注会を企画して、場をつくる、その事に意味はあるのだろう。

おそらく山形では自分たちにだけ任せてもらえる事だ。

しかしセレクトショップ(…という言い方は本当は好きではないのだけど便宜的に)の「セレクト」という部分がすっぽりと抜け落ちてしまっているような気がしてきたのだ。

BATONER はニットのブランドだから必然的に秋冬がメインになる。

本来であれば、展示会で次の冬に売りたいニットを真剣に選び、仕入れ、オンタイムではそれを真剣に提案し、販売する。

当然そこにはリスクがつきまとう。

もし思うように売れなくても、仕入れれば支払いが生じる。

しかしながらそのリスクの先にのみ存在し得る、大きな喜びがあるのだ。

身銭を切って仕入れたものの良さがお客さまに伝わり、その対価としてお客さまも大切なお金を支払ってくださる。

この上ない喜びだ。

アドレナリンどばー、である。

やはりそういう事がやりたい。

もちろん、受注会でご注文頂いた分以外に店頭で販売する分も仕入れはするのだけど、どうしたって受注会での結果がそこにフィードバックされてしまう。

受注会で調子の良かった品番を贔屓目に見てしまう。

カンニング、とまでは言わないまでも、釈然としないものを感じてしまうのだ。

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だから今年は受注会をやらない。

自分たちで100%リスクを取り、皆さまに真剣勝負を挑む事に決めた。

今までのような受注会の在り方を否定するつもりはなく、毎年毎年やるのはなんか違うような気がしてきた、って事。

やる必然性を感じたら、もちろんその時はまたやりたいと思っています。

… とは言え。

せっかく BATONER の地元であるここ山形に店を構えているのだから、それを活かした別の何かをやりたい。

ワガママにワガママを重ねる事になってしまうけど、まあ仕方ない。

というわけで、前々から頭の片隅にあったある計画を実行する事にしたのです。

続く。